思考法

失敗から学んだ、チームメンバーへのフィードバック術(やってよかったこと・やめたこと)

失敗から学んだ、チームメンバーへのフィードバック術(やってよかったこと・やめたこと)

✅ 📋 1分で読めるこの記事の概要

請負でサーバ・NWの設計構築を担うチームの管理職として、2〜3人のメンバーに日々フィードバックを送るなかで、私は「テキストでの指摘」が相手の自己否定につながり、ただ仕事をこなすだけの状態にしてしまった経験があります。そこから学んだ「やめたこと」と、いま心がけている「褒める・感謝を伝える・落ち込ませすぎない」というやり方、そして「部下が成長しないのは部下のせいだけではない」というメッセージを、実体験ベースでまとめました。

✅ 1. 私の立場:請負チームの管理職として

私は請負のチームで、主にサーバやネットワークの設計・構築を担当するグループの管理職をしています。フィードバックを送る相手は、だいたい2〜3人のメンバー。納期や品質が求められる現場だからこそ、指摘や修正依頼は欠かせませんが、その「伝え方」で大きく結果が変わると感じています。

✅ 2. やめたこと:テキストの指摘が「自己否定」に聞こえてしまった

失敗談として覚えているのは、テキスト(チャットやメール)での指摘のしかたです。こちらの意図は「ここを直してほしい」「こうした方がよい」というフィードバックだったのですが、相手には「自分が否定されている」と受け取られてしまったようです。そのあと、そのメンバーはただ言われた仕事をこなすようになってしまいました。自分から提案したり、疑問を口にしたりする動きが減り、「指示待ち」に近い状態になったと感じました。テキストは手早く伝えられる一方で、語調や文脈が伝わりにくく、「指摘」が「人格否定」のように届いてしまうことがある。その結果、相手の自己肯定感が下がり、成長の土台である「やってみよう」という気持ちが削がれてしまった——そう反省しています。いまは、重要な指摘や、相手のやり方・考え方に触れるようなフィードバックは、できるだけ口頭(対面や音声)で伝えるようにしています。どうしてもテキストで送る場合は、「〇〇の部分、こう変えるとよりよいと思う」のように、行為や成果物に焦点を当て、「あなたという人」を否定していないことが分かる表現を心がけています。

✅ 3. やってよかったこと:褒める・感謝を言う・自己肯定感を意識する

反対に、「やってよかった」と感じているのは、「できるだけ褒めること」と「感謝を伝えること」を意識し始めてからです。請負の現場は、どうしてもタスクと納期が前面に出がちで、「作業をこなす」感覚になりやすい。だからこそ、小さなことでも「ここが良かった」「この対応助かった」と言葉にし、その人の存在や貢献に目を向けるようにしています。すると、相手の反応や態度が少しずつ変わり、「認められている」と感じてもらえている手応えがありました。単なる作業役ではなく、自分もチームの一員として見てもらえていると実感してもらうことが、結果的に自己肯定感にもつながり、成長の土台になると考えています。

✅ 4. 心がけていること:落ち込ませすぎない、相手に合わせて伝え方を変える

特別なフレームワークを毎回思い出しながらやっているわけではありません。ただ、次の2点は意識するようにしています。

  • あまり過度に指摘しない … 指摘は必要でも、一度にたくさん言いすぎない。「ここを直せばよい」が伝われば十分なときは、それ以上を求めすぎないようにしています。1日、何かひとつでも成長してくれればいい——そのくらいのゆるさで見ることで、相手も自分も息がしやすくなり、結果的に継続的な成長につながると感じています。

  • 相手の意欲・スキルに合わせて伝え方と粒度を変える … 状況対応リーダーシップ(意欲と能力のマトリックス)という考え方を参考にしています。部下を「意欲×能力」の軸でざっくり把握し、意欲も能力も高い人には任せ方を変え、意欲はあるがまだスキルが足りない人には教え方や説明の細かさを変える——といった具合に、相手が今どのあたりにいるかで、説明の粒度や指摘の強さを変えるようにしています。リーダーシップの研修や育成の本でよく紹介されるフレームワークです。部下の状態を「意欲×能力」で4つに分けると、おおよそ次のようなマトリックスになります。(横軸=能力、縦軸=意欲) 部下の状態を「意欲×能力」で4つに分けると、おおよそ次のようなマトリックスになります。(横軸=能力、縦軸=意欲)

    quadrantChart
        title 状況対応リーダーシップ
        x-axis Low --> High
        y-axis Low --> High
        quadrant-1 "D4 自立した達成者"
        quadrant-2 "D1 熱心な初心者"
        quadrant-3 "D2 幻滅した学習者"
        quadrant-4 "D3 有能だが慎重な貢献者"
    

それぞれの状態に応じて、こちらの関わり方(リーダーシップ・スタイル)を変える、という考え方です。

flowchart LR
    subgraph 部下の状態
        D1[D1 熱心な初心者]
        D2[D2 幻滅した学習者]
        D3[D3 有能だが慎重]
        D4[D4 自立した達成者]
    end
    subgraph 関わり方
        S1[S1 指示型]
        S2[S2 コーチ型]
        S3[S3 支援型]
        S4[S4 委譲型]
    end
    D1 --> S1
    D2 --> S2
    D3 --> S3
    D4 --> S4

「全員に同じフィードバック」ではなく、その人に合わせた伝え方を心がけることで、相手が受け取りやすくなり、結果として成長にもつながりやすいと感じています。

✅ 5. ✨ 最後に:部下が成長しないのは、部下のせいだけではない

フィードバックで失敗もしてきたからこそ、いまはこう思っています。部下が成長しないのは、部下のせいだけではない。こちらの接し方が原因になっている可能性もある。指摘の「内容」が正しくても、伝え方・タイミング・媒体(テキストか口頭か)で、相手の受け取り方は大きく変わります。自分が「良かれ」と思って送った一言が、相手の自己否定や、ただ仕事をこなすだけの状態につながってしまうこともある——ということを、身をもって学びました。もしあなたがリーダーやメンバーの育成に携わっていて、「なかなか成長してくれない」と感じているなら、一度、自分の接し方や伝え方を振り返ってみてほしいです。褒める・感謝を伝える・落ち込ませすぎない・相手に合わせて伝え方を変える——そうした小さな積み重ねが、相手の自己肯定感と成長の土台になっていくと思います。

LEE
Author

LEE

SIチーム管理職

2024年よりSIチームの管理職に従事。技術とマネジメントの両立をモットーに、現場のリアルな知見を発信しています。趣味は車とガジェット。

ネットワークスペシャリスト (2023年合格) 情報処理安全確保支援士 (2024年合格)